今更私が語るまでもない、ベストセラー絵本「ぐるんぱのようちえん」。自分が子供の頃に読み聞かせしてもらった人もいらっしゃるかと思います。
絵本業界は、古い本がずっとベストセラーになり新規参入が非常に難しいとの事ですが、「ぐるんぱのようちえん」、初版は1966年。古い本の中でもかなりの上位に入りますね。
「新しい絵本の良作を発掘してお知らせしたい」という目的が私の中にはありますが、それでもこの本はベストセラー、ロングセラーになりうるだけの本だということに今さら気が付いたのです。
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もくじ
あらすじ
ぐるんぱは、ひとりぼっちの大きなぞうです。ビスケットやさん、靴屋さん、ピアノ工場、自動車工場……。ぐるんぱは、色々な仕事場で一生懸命に働きますが、つくるものが大きすぎて失敗ばかり。そんなときぐるんぱは、子どもがたくさんいるお母さんに出会います。子どもたちの世話をたのまれたぐるんぱは、とても素敵なものを作ります。それはぐるんぱが作った大きなものでたくさんの子どもたちが遊べる、すてきな幼稚園でした。
(出典:福音館書店)
冒頭だけ読むと、「ぞうのいじめか?」と思ってしまうのですが(私だけでしょうか)、適切な働き口を探し続けているうちに、最後にすてきな居場所が見つかるという心温まるお話です。
絵本の感想を子どもに聞くと…
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”R1″ icon=”danji.png” name=”おとこのこ”] しょんぼり、しょんぼり、の言葉のリズムがおもしろい[/speech_bubble]
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”L1″ icon=”joji.png” name=”おんなのこ”]こんなようちえんがあったらいってみたい [/speech_bubble]
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”R1″ icon=”danji.png” name=”おとこのこ”]ひとりぼっちのこがひとりぼっちじゃなくてよかった [/speech_bubble]
などなど…たくさんの感想、その子なりの「ぐるんぱのようちえん」のイメージがあるようです。先日、1年生のクラスに読み聞かせに入った時に「ぐるんぱのようちえん」を読みましたが、どの子も静かに聞いてくれて、たくさん感想もくれてビックリしました。
(注:私から読み聞かせの後に敢えて感想を聞き出すことはしませんが、担任の先生が「感想ある人~」と呼び掛けたり、帰り際にそっと感想を言ってくれる子もいたりしますね)
大人になって改めて読んでみた
「ぐるんぱのようちえん」を読み聞かせに使おうか…と思って、改めて手に取って読んでみると…。大人になってから、ならではの思い、気づきがあふれ出してきました。
自分は必要とされていないのではないか、私の居場所はどこにあるのか…なんて悩みは、子どもよりもむしろ大人じゃないの?って思うくらい。
この本に見出したテーマ
私が「ぐるんぱのようちえん」に見出したテーマを解説していきます。
適材適所
自分の能力にあった働き方をしていないと、誰でも辛くなりますよね。
ぐるんぱも、自分に合ってない職場に行った時は散々リストラにあいますが、最後は天職に巡り合えて自分の能力をいかんなく発揮されてみんなから喜ばれます。やっぱり、生かすも殺すも「適材適所」なんだなぁってしみじみ思った次第。
居場所づくり
「居場所があるかどうか」は、人生における重要なテーマです。私は、「居場所があること(寂しさを常に抱えていないこと)」と「承認欲求の健全な満たし方」さえ知っていれば、その人にまつわる問題の9割以上は解消されると考えています。
最後に、ぐるんぱが幼稚園を作るところで終わるのですが、ぐるんぱが幼稚園を作ることによって、ぐるんぱ自身も寂しくなくなりましたし、ひとりぼっちの子どももたくさん来てくれて「子どもたちの居場所」にもなりました。今、経済格差が広がって「子ども食堂」や「無料塾」などの取り組みもされていますが、やはり、子どもたちの居場所確保は課題なのだと思いました。
子どもの感想にもありましたが、「寂しい」はやっぱり長期間抱え続けない方がいい思いなのかな、と改めて感じました。
自分の存在意義
冒頭、ぐるんぱは「いじめ」とも思えるひどい仕打ちに合います。「あいつ、くさいし、寝てばっかりだし、このままじゃダメになりそうだから働きに出さないと」と、ぐるんぱの意思はさておき、ゾウ仲間の会議で決まったのでぐるんぱは職探しに出かけることになります。
最終的にはそれが功を奏して適職に巡り合えてめでたしめでたし、なのですがね。
適職につき、自分の居場所が見つかれば、人間だっておのずと「私ってここにいていいんだ」という自己肯定感が上がります。自分の存在意義が分かれば、生きる希望も湧きますしね。
「ぐるんぱのようちえん」は現代の縮図?
冒頭のぐるんぱの立場を現代風に言うと、まさに「引きこもりニート」。
「勉強しないとニートになるわよ」と子どもに叱咤激励しているママ友がいます(実話ですw)。子どもを引きこもりニートにさせたくなければ、寂しいという状態に子どもを慣れさせないこととその子の能力を適切に見極めることの方が大切なんじゃないか、ということを「ぐるんぱのようちえん」を読んで感じた次第でございます。
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