時空を超えてまで会いたい人はいますか?「コーヒーが冷めないうちに」「この嘘がばれないうちに」【読後感想】

こんにちわ。2冊の小説を一気読みしたので感想記事を書きますね。
コーヒーが冷めないうちに」は、2017年本屋大賞にノミネートされたことと「4回泣けます」のキャッチコピーで話題になった反面、それで無駄に期待値を上げてしまったのかな、と。
もともと最初は舞台だったのを小説化したということで、この本の作者は本業は脚本家なんだそうです。元々舞台だったのだから、脚本っぽくてもそれはそれでいいんじゃないかなと思います。

私は、この本の存在を電車の広告の中で知りました。
本屋さんに行くと、やはり話題の本として目立つところに置いてありました。
普段、私は小説はあまり読まないんですけれど、たまには小説もいいかなと思って気軽な感じで手に取れました。

 

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そこまでして過去に(もしくは未来に)タイムスリップしたいのか?

過去に戻れるという喫茶店があります。
しかし、過去に戻るためには、非常に「めんどくさい」いくつかのルールがあります。
ルールを聞いただけで、私だったらめんどくさくていく気が起こらなくなるんですけれども「それでも、どうしても会いたい、伝えたい人がいる」という強い思いを抱いた人だけが過去もしくは未来に行くことを選択するのです。

ルールの一例を挙げると…

・過去に行ったところで現実を変えることはできない
・会えるのはこの喫茶店に行ったことがある人だけ
・過去や未来に行けるのはある席に座った時だけで、その席は1日に一回しか空かず、
 いつ空くのか分からない
・タイムスリップして言う間は席を立つことができない
・コーヒーが冷めきる前に、コーヒーを飲んで「今」に戻ってくること

などなど。

極めつけは

コーヒーが冷めるまでにコーヒーを飲み切らないと〇〇になってしまう

という…ああ、そうなんだ、そうなんだ。
別に〇〇になってもいいじゃんって思いながら最初は読み進めていったのですが、そうなったらなったで悲しむ人もいるんだよね、そうだよね…って思いながら複雑な気分。

「コーヒーが冷めないうちに」「この嘘がばれないうちに」はどちらも4話構成

コーヒーが冷めないうちに」では、

『恋人』結婚を考えていた彼氏と別れた女の話
『夫婦』記憶は消えていく男と看護師の話
『姉妹』家出した姉とよく食べる妹の話
『親子』この喫茶店で働く妊婦の話

 

この嘘がばれないうちに」では、

『親友』22年前に亡くなった親友に会いに行く男の話
『親子』母親の葬儀に出られなかった息子の話
『恋人』結婚できなかった恋人に会いに行く男の話
『夫婦』妻にプレゼントを渡せなかった老刑事の話

そして、「この嘘がばれないうちに」では、「コーヒーが冷めないうちに」から出てくる「白いワンピースの女」のエピソードが随所に書かれている、という感じです。

「コーヒーが冷めないうちに」読後感想。4回…はさすがに泣けなかったけど、最後は泣きました

「コーヒーが冷めないうちに」のキャッチコピーは「4回泣けます」

さすがに、私は4回は泣けませんでした。
特に、第1話の「結婚を考えていた彼氏と別れた女の話」は、私が共感できなかった(ここ一番、というときに本音を言えない女は根本的に好きじゃないw)ので、正直読み進めるのどうしようかと少し迷いました。
個人的にこの「過去に戻れる」設定が好きだったので最後まで読みました。
私は「コーヒーが冷めないうちに」にの中で気に入った話は、第4話の「この喫茶店で働く妊婦の話」。
私も小学生の息子がいるので、妊娠時を思い出しながら読みました。
もしも妊娠時に異常があって「自分をとるか生まれてくる子供をとるか」ってなったら思い悩むだろうし、もしも自分に何かあった時に子供に何を託したいのか、そういうところがすごく共感して最後は涙が止まらなかったです。
実際、私自身も前置胎盤の状態で息子を出産していますし、時代が時代だったら私も息子も無事に出産できなかっただろうなぁなんて考えたことを思い出しました。
最後の部分、実は、朝、起き抜けに読んでまして…隣で寝てる息子を見て涙が止まらなくなっていきなり号泣してしまい、それで息子が起きてしまってびっくりしてました(笑)

「過去に戻ったところで現実が変わるわけではない」という設定が好きです。
それでも「何か」が変わることによって、その人たちは未来に希望を見出して生きる希望を見出すという流れに私はすごく感動して、いいなって純粋に思いました。

「この嘘がばれないうちに」読後感想。個人的にはこっちが好みです

こちらは、時系列でも「コーヒーが冷めないうち」の完全な続編です(タイムスリップのルールや人間相関図は書かれているので、前作を読まなくても読めないことは無いですが)。
個人的には 「コーヒーが冷めないうちに」を読んでから、「この嘘がばれないうちに」を読むことをオススメしたいです。
前作の最後のお話で出てきた登場人物(主に喫茶店の関係者)のその後のエピソードがとても楽しいです。
この嘘がばれないうちに」で私が好きなのは、第2話「母親の葬儀に出られなかった息子の話」と第4話「妻にプレゼントを渡せなかった老刑事の話」。
中には「別に、これ、タイムスリップまですること?」っていう話もあるのですが、この2つは「タイムスリップしてよかったな」って純粋に思えたからです。

あとは、前作では謎のままだった「白いワンピースの女」の正体が分かります。

「タイムスリップしてよかったな」と思えるのはこんな時

・お互いが誤解したまま別れてしまい、二度と会えない関係になってしまった人たち
・それによって、残された方が誤解した思いを抱いたままずっと引きずってしまっている

というパターン。

このシチュエーションは、実際にもよくある話だと思います。
こういう風に、過去に対する捉え方を変える機会があれば、残された方も生きやすくなるのではないかと思ったからです 。

過去と他人は変えられないけど、過去に対する捉え方は今からでも変えられる

私がこの小説が好きなのは「過去に戻っても現実は変えられない」という設定。
過去で、頭から離れられない出来事って誰にでもあると思うのです。
「過去は変えられない」からといって過去に触れないというのが、私にはどうしても合わなかったのです。
そこで、過去に戻って何か違った情報を入れることで「捉え方」を変えて…それでその人の「今」の気持ちが変わってこれからの未来を前向きに生きられるんだったら…それはそれで私はありだと思ったのです。
だからかな…「過去に戻って、会いたい人と話をする」という設定はすごく好みでした。

本当、過去は変えられないのですよね。
人はどうしても過去に起きたことを後悔して、そこを変えたいと思ってしまう。
しかし、変わったのはそこではなく…
「過去に戻った人が変わったものは何か?」ぜひ読んで確かめていただけたら、と思います。

そういえば、ずいぶん前から映画化されることは知っていたのですが、公開間近になってずいぶんテレビなどでも取り上げられるようになりましたね。

当初から有村架純ちゃんが主演だというのは分かっていましたが…続編まで読んでいる私としては…彼女は健康で明るいイメージがあるので…もうちょい病弱そうな女優さんはいませんかね?って思ってしまいました。笑

予告編を見る限り、小説には出てくる主人公の娘さんの描写はなさそう?な感じなので、別に病弱じゃなくてもいいのか…などと、公開前からモヤモヤしていますw

この作品は、映像化するには向いている作品だと思います。しかし、主人公はもっと病弱っぽい設定が良かった…(それじゃ映画としてはどうなのって言うのはありますがw)

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