【読後感想】「1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ」は、ひとり起業のお手本のような本だった

最近、テレビでよく見かけるんですよね 「1本3000円のガトーショコラ」って。
食べてみたいという興味はもちろんあるのですが、それより先に、この「ケンズカフェ東京」の氏家健治さんが書いた「1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ」という本に興味を持ってしまって、ガトーショコラを発注する前に読了してしまいました(笑)

実は、この本は初版が2014年の1月。今が2018年の4月ですから発刊して4年余りが経っています。たまたまテレビで3000円のガトーショコラを知ってからのこの本との出会い。2014年の時点では私は自分が開業届を出すのはおろか、開業届の存在すら知らなかった(起業って言葉も知らなかったんじゃないだろうかw)ので、今のタイミングでこの本に出合えたのは良かったです。

読んでみて感じたのは…
「好きを仕事にしたい」という、最近流行っている「起業女子」の方々は全員読んだ方がいいのではないかという、実に濃い内容でした。

詳しいことは、ぜひ本を買って読んで欲しいのですが、私の経験(開業届を出して2年目)を踏まえての私なりの視点で感じたことや心動かされたことをレポートします。

 

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「流行っている=儲かっている=安泰」ではない

流行る前に廃業してしまう人もきっとたくさんいらっしゃるでしょうけど…1度流行ったからと言って「安泰」はありえないんですよね。

よく、客入りが悪いわけではないのに突如閉店という飲食店があるじゃないですか。評判の店が閉店するというコトもあるのです。以前の私だったら理由が分からなかったのですが、今の私なら分かります。

そのカラクリは、ひょっとしたら実際に自分で値段をつけて商品を売ってみないと分からないのかもしれません。
私も手帳講座を始めたとき、最初は値段をつけることに抵抗があって1000円から始めました。1000円台のモニターさんの時は、3日で20人集まったのです。
しかし、すぐに「1000円で続けるくらいなら、最初からやらない方がマシ」というコトに気が付くのです。
1回レジュメを作って、同じことをひたすらしゃべり続けるだけならコストはそんなにかからないでしょう。
しかし、講座としてクオリティを上げるには、それなりにセミナーや講座にも通うし書籍代もかかる。サンプルとして取り寄せる手帳や文房具の代金も経費になります。
お客様にそれなりの品質の商品を提供している裏には、常にそうやってブラッシュアップしていくのです。

でも、薄利だと、そこにお金をかけることが出来ずに売れてしまう分だけ時間的にも余裕がなくなります。そして、似たような商品を作るライバルがいつ出てくるか分かりません。

なので、流行っているうちに次の一手を打つ、そこに投資するために利益を出さないと次の一手は打てない…というのはビジネスを続ける上では致し方ない部分もあります。

 

値上げするのは意味がある

私のところにも時々質問があります。

「ねえ、なんで1000円だとやればやるほど赤字になるの?」と。

そういう人は、フリマでもなんでもいいので、1度「自分で値段をつけて何か売ってみる」ことをするのをお勧めします。集客や設営などの事前準備がものすごくかかり、実際に売り上げた金額は…というのを身をもって体験しないと分からないのでしょう。
サラリーマンやアルバイトのような、いわゆる「時間で働くお給料」でしかお金を得ることをしてこなかった人とは、(日ごろから原価とか経費などを意識していない職種でもない限り)分かりあうことが出来ないんじゃないか…とさえ思うほどです。

モノやサービスを売ったら、そこで得たお金(売上)には、原価や経費がまるまる含まれています。
この本に書かれているガトーショコラの場合は、最高級の原料を使っているし、箱や包装紙などにもコストがかかっているようです。お店の家賃や(従業員が他にいる場合は)人件費もかかるでしょう。で、その、技術を取得するためにもコストがかかっているのです。その技術をブラッシュアップするためにもコストがかかるのです。

そういうバックに潜んでいる部分を商品の値段に含めることが出来ない場合は、(たとえ売り上げが上がっていたとしても)潰れていく確率が上がるのではないかと私は思っています。

その代わり、値上げは既存顧客が離れて行ってしまうという最大の要因でもあるので悩みどころです。「何十年お値段据え置きで頑張ってきました」なんて、テレビでもお店の宣伝文句で使われたりしていますよね。

このガトーショコラの場合は、最高級の原料にして、包装なども高級感あふれる素材にするなど、完全に「高級志向」の層をターゲットにすると決めて商品のブランディングをしたようで、それが成功したといえます。

1品に絞り込むのに、最初から決めていたわけではない

最近、自宅でお教室やサロンをはじめとした、いわゆる「起業女子」の方と話をする機会が増えました。その中で、「今後自分もそういうことを仕事にしたい」という話を聞くことも増えました。

それはそれでぜひやればいいのではないか、と思うのですが…中には商品だけでなく売り方まで最初から決めてしまう人がいます。

商品の質がいいものであればリピーターはつくのです。商品を売るのに一番大変なのが「初めましての人に買ってもらう」、いわゆる「新規のお客様」に来てもらうのが一番大変なのです。

こだわりがあるのは大変結構だと思うのですが、ビジネスとして成立するならば「ニーズがあるもの」をビジネスにしないと、初めてのお客さんが買いに来てくれる「間口」を自ら狭めているようなものです。
間口が狭くてもある程度のニーズが見込めるのならば、SNSの特徴を駆使してひたすら告知&拡散すればある程度の人は「あなたのことを知ってくれる」かもしれません。が、「知ってくれた」人の中でも「お客さんになってくれる」人はほんの一握りなのです。

ケンズカフェの場合は、もともとはイタリアンのお店でした。イタリアンのお店としても十分成功していたのですが、その中でとりわけガトーショコラが好評だったため、思い切ってガトーショコラ1本で勝負することにしたのです。 最初から一品勝負をしていたわけではありません

ニーズを拾い上げての成功

この本では、最初からテイクアウトに応じてたわけでも地方発送に応じてたわけでもない、とあります。「お客さんのニーズ」があって、それに応じての対応、そして値上げ…の繰り返しです。

自分の中では「ありえない」ということでもニーズに応じて柔軟に対応し、その中でも利益が出るような仕組みを作っていったのです。

そう。自分の中では「ありえない」と思っていることでもニーズが高いもの、自分が対応できるものでそれがビジネスにつながる…ビジネスは「お客さんのニーズがあって初めて成立する」のです。

この本とはだいぶズレますが(笑)
「好きなことを仕事に」という言葉だけが独り歩きして、「やりたいことだけやってやりたくないことはやらない」って思っている人もいます。売上あるのに確定申告しないというところから始まり、SNSやブログが好きじゃないから告知も進まないのに集客だけはしたいとか、「ママ友には自分がこんなことをしているのは知られたくないんです」っていう人まで。

私も手帳講座で「優先順位をつけましょう」とは言っていますが、やりたくないものや優先順位の低いものは代替案を考えるとか得意な人に頼むなどして「自分でやらない仕組みを作る」ことを勧めているのです。
やらないでバックレるのではなく、ポイントを押さえるというコトも大事なことだと思います。

ブランディングの重要性

そして、この本の醍醐味というか最大の読みどころは「ブランディング」の過程でしょうか。

自分の商品をどのように価値を出していき、どうやって売りたいか。

テレビなどのマスコミに取り上げられた、というのもありますが、氏家さんご自身でこれだけのSEO対策をしていたんだと思うと、ちょっとびっくりします。

本書の第7章は、(2014年発行で既に4年経っていることを差し引いても)まだまだ使えそうなテクニックがあります。 ブログの告知文ってただ書けばいいってものではありません。アメブロだと効果出るかどうか分かりませんが、WordPressでブログを書いている人(で、SEO対策って何?って人は)ぜひとも読んですぐにでも活用すればいいと思います。

「走りながら考えて、走りながら修正する」

仕事が出来る人と会話していてアイディア出しなんかをすると、「で、それ、いつやるの?」って必ず聞かれます。「願望」がすぐさま「予定」に変わる瞬間、です。

準備ばかりして動き出さない人は、 当の本人は動いていると思っているかもしれませんが、動いてないのと同じです。準備ばかりしていても、まずイメージ通りにはコトは運びません。

動いてみて、動きながら見つかる課題や問題点を1つ1つ消化(昇華…でもいいかもw)していく。1度決めたことを翻してはいけない、なんてことはなく、柔軟に対応していけばいいのだと思います。

この本を読んでいて「やっぱり成功している人は動きながら考えるんだな」というコトを再認識しました。

 

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